犀川大豆田河川敷

 金沢の市街地を流れる犀川の大豆田から示野にかけて、比較的広い河川敷が残っています。ニセアカシアなどの樹木が河畔林を形成し、市街地の中での重要なビオトープ(まとまりを持った野生生物の生息空間)となっています。
1996年から97年にかけての調査により植物190種、鳥類64種が確認されています。また、千羽を越えるムクドリ、コムクドリのねぐら入りの中継地となっていることもわかりました。
川幅が広いため、河原も形成されている。ヤナギなどの川辺林も見られる。砂礫地にはイカルチドリも繁殖する。
中州は小鳥の休息場所ともなっている。
ニセアカシヤの河畔林

犀川大豆田河川敷で見られた鳥類
(1996年5月から97年8月)
ウミウ、カイツブリ、バン、カワアイサ、カルガモ、コガモ、マガモ、ユリカモメ、セグロカモメ、カモメ、ウミネコ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ゴイサギ、ササゴイ、イソシギ、ハマシギ、タシギ、イカルチドリ、キジ、キジバト、ドバト、ハイタカ、ミサゴ、ノスリ、チュウヒ、トビ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、カッコウ、ツバメ、カワセミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒバリ、ウグイス、オオヨシキリ、モズ、スズメ、メジロ、シジュウカラ、ツリスガラ、ホオジロ、アオジ、カシラダカ、オオジュリン、ノビタキ、ジョウビタキ、カワラヒワ、イカル、アトリ、シメ、ツグミ、シロハラ、ヒヨドリ、ムクドリ、コムクドリ、ハシブトガラス

進行する河川改修
1980年頃から始まった河川改修により、サッカー場や野球場が作られ市民の集う場となりました。また親水護岸により、水辺に近づきやすくなりました。しかし一方で、これまであった豊かな河畔林は減少し、ビオトープとしての機能が低下しています。
これまでの蛇行した川筋が、平坦で浅い流れに変わったため、魚類の大量死(1996年8月)も観察されています。

賢明な河川敷の利用を
確かに、市民の運動場は必要です。しかし市街地における野生生物の生息空間が減少している現状にあって、現在の生物の生息空間としての機能を考えると、この河川敷を生かした形での賢明な利用(wise use)を考えていくことが求められます。また、本多の森、金沢城跡、大豆田河畔林、西部緑地、普祥寺の森を結ぶビオトープのネットワークを断ち切らないためにも、市街地のビオトープとしてこの空間を保全、整備していくことを願います。


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