梅雨のあいだに、植物は急成長し、ヨシでは4mを越えるほどになります。
夏の間、鬱蒼とした閉鎖的な空間となっています。

1999年 2000年 2001年 2002年


1999年

      
             6月14日
 6月にはいると水面全体にアサザが広がりました。まもなくアサザは花を咲かせ、水面には黄色い花がいくつも浮かびました。6月下旬には117つもの花が一度に咲きました。水面を覆っていたアサザは7月中旬にほとんど枯れてしまいました。

 アサザが枯れた後には、トチカガミがみられるようになりました。トチカガミは浮遊性もしくは浮葉性の水生植物です。アサザよりも小さい葉を水面に浮かべました。

 アサザはほとんどが枯れてしまいましたが、水面の一部で新葉を展開しました。そして8月下旬には花を咲かせました。

 沈水生の植物では、6月中旬に池の一部でマツモが確認されました。マツモは急速に広がりはじめ、8月中には池の全体に広がりました


 マツモについていることが多いトンボやカゲロウ、アサザに卵を産み付けるミズメイガ、水辺ではゲンゴロウやガムシの仲間、コミズムシ、マツモムシ、メダカやヌマエビなどが数多くみられました。
 イトトンボはアサザやマツモの葉が水面に浮かんでいる場所で産卵がみられました。

          8月11日
アサザが枯死し、トチカガミが葉を展開

2000年
 春から水生植物の生育が悪く、昨年度に比べて多様性がなくなりました。6月下旬にはアサザヤトチカガミ、マツモ、ミズアオイなどがみられなくなりました。湿性地に生育するセリだけは、前年度に比べて増えました。セリは前年の秋から水辺でみられるようになり、冬場ほかの植物が枯れている間に徐々に数を増やしました。7月には高さ70cm前後となり、水際で旺盛に生育しました。水際ではセリの他にイボクサが旺盛に生育し、ミクリやヒメガマ、フトイなど背の高い抽水植物が生育しました。なだらかな水辺空間はすこし鬱蒼とした環境となりました。

 ミズアオイは春先に発芽しました。生育は悪かったですが少しずつ大きくなっていました。しかし7月にはいるとすべてなくってしまいました。

 原因をさぐりながら、植栽を試みることにしました。そして7月中旬にアサザ10株とミズアオイ70株ほどを植栽。しかしその翌日に見に行くとアサザはすべて切られていました。観察を続けるとアメリカザリガニがアサザにしがみついてハサミで切断しているのを確認しました。ビオトープ池には冬の間からアメリカザリガニが度々確認されていました。
 7月下旬にはトチカガミとアサザの植栽もおこないましたが、1ヶ月たたない間に消失しました。 水生植物の消失の原因にアメリカザリガニが大きな影響を及ぼしているようです。

 ほかの帰化動物ではミシシッピアカミミガメがみられています。6月中旬に甲10cmほどの幼体が2匹。7月には成体も確認されました。しかしその後は確認されなくなりました。

 アメリカザリガニを捕食する動物が池に訪れるようになりました。アメリカザリガニの体の一部が残されているのをよく確認します。痕跡から考えられるのはサギの仲間、キツネ、イタチです。サギの足跡や糞は頻繁に見られています。アメリカザリガニが食べられた後の死骸は、橋の上、歩道、や観察舎といった開けた場所に多く見られ、水辺でも確認されています。

 背の高い抽水植物が旺盛に生育し、また池の周囲のヨシが水面へ倒れ込み、夏以降はとても閉鎖的な水域となりました。コシアキトンボやチョウトンボ、ギンヤンマなどの飛翔は度々確認されましたが、前年に比べイトトンボは少なくなりました。


2001年
 

               7月
フトイやヒメガマ以外の水生植物がまったく見られなくなりました。
土手にはヨシやセイタカアワダチソウが優先しています。
高茎の草が茂ると道が通れないほどになります。
6月から8月にかけて4回草刈りをしました。草刈りをした約1ヶ月後にはもとにもどるかのような茂り具合でした。

7月下旬には水面に20匹以上ののアメンボが見られました。
コシアキトンボやシオカラトンボが開放水面の上空をパトロールするのがみられました。メダカを見る機会が少なくなりましたが、8月20日に20匹前後のメダカが観察舎付近で確認しました。




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