ビオトープ池に植栽した希少植物

 ここで紹介するのは、河北潟にわずかに残っている絶滅が憂慮される水生植物です。
 水辺ビオトープ池に種子を播いたり、株を移植しました。
これらの種の、これまでの生育状況をお知らせします。
     
アサザ   ミズアオイ
 1999年には4月末から7月上旬まで池の開放水面のほぼ全体を葉で覆いました。5月22日に初めて花を咲かせ、6・7月は最盛期でした。6月14日の朝方には一度に117個もの黄色い花が水面に浮かびました。
 次年度以降、生育不良となり、2000年7月に植栽をしたところアメリカザリガニに葉柄を切断されてしまいました。現在は定着していない状況です。
   水田の植物の代表、ミズアオイ。
 実験池ではなだらかな水辺に移植しました。1998年は旺盛な生育を見せ、写真のような青紫色の花をたくさん咲かせることができました。1999年度も9月上旬からたくさんの花を咲かせました。その頃ミズアオイの花や葉には水草を食べるゾウムシがみられました。
 2000年以降はミズアオイは消失してしまいました。
 

   

ミクリ   コウホネ属の一種
 ビオトープ池に移植されたミクリは、当初ガマやヨシに囲まれて生育がわるかったのですが、ひらけた水辺に移植したところ順調に生育しはじめました。地下茎を伸ばして数が殖え、緑色のイガイガ実がたくさんなるようになりました。水辺には初夏からミクリの種子が多数浮いています。    ビオトープ池では、今のところ十分には成長してません。コウホネの周辺をヨシが覆ってしまうことで光が十分に当たらなくなることが大きな原因としてあげられます。1999年度にはひとつ、ふたつ水面上に大きな葉を立ち上げることがありました。

各種の特徴と河北潟における分布状況

アサザ
・湖沼やため池などに生育する浮葉性(水面に浮かぶ葉をつける)の植物です。葉は直径5〜10cmほどの丸いハート型をしています。6月から9月頃まで、水上に短い花柄をたちあげ先に黄色い花をつけます。花弁の縁が5つに細かく切れ込んだアサザの花は、わずか1日でしぼんでしまいます。
・アサザは、かつて河北潟湖岸を埋め尽くすほどに群生していたと考えられ、河北潟を代表する水草の一つであったと思われます。しかし現在では、干拓地内の西部承水路沿いに点在するのと、潟周辺の水田地帯の排水路の1カ所に群生しているのが確認されているだけです。


コウホネ属の一種

・コウホネ属は、浮葉あるいは抽水性(葉や茎の一部が水面上に突出する)の植物です。
・コウホネ属には、コウホネ、ヒメコウホネ、オグラコウホネなどの種がありますが、分類学上の再検討が必要とされています。
・河北潟にみられるコウホネ属の一種は、花柱の特徴などから既種に単純に当てはめることができない、独自の形質をもっています。
・河北潟のコウホネ属の一種は、潟周囲の水田地帯の排水路の1カ所で8個体の生育が確認されているだけです。


ミズアオイ
・休耕田や水路に生育する抽水性の一年草で、8月頃から10月頃まで青紫色の花をつけます。
・かって河北潟周辺に水路が発達し小舟が行き交っていたころ、舟の行く手をさえぎるほどミズアオイが繁茂していた所もあったようです。
・河北潟周辺では、98年中に3カ所の群生地を確認しましたが、うち1カ所は道路脇の側溝で清掃により、もう1カ所は除草のためいずれも夏までには消失しました。残りの1カ所は最大の群生地でしたが、公園整備のため秋には埋め立てられました。


ミクリ
・高さ150cm位に成長する多年生の抽水植物。止水を好み、水路や河川のなかで浅く流れのない場所に生育します。ショウブやガマに似た葉をつけますが、断面が三角状になることで区別できます。花期は6〜9月。果実は栗のいがのような形をしていて目立ちます。茶色に変色して成熟した果実は、手でもむと、バラバラにくずれ落ちます。
・河北潟では、98年に干拓地内の中央排水路の1カ所で群生が確認できただけです。


 

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