2008カレンダー「消える風景 ギリギリ河北潟」

1月から6月までの上半期と7月から12月までの下半期に分けた両面使用で、書き込み可能なスケジュール帳となっています。壁掛け用としても携帯用としてもご使用いただけます。

各月の写真と解説の見本

表紙 河北潟の西部承水路にはハスの大群落がありました。承水路は、河北潟の湖岸の名残です。最も上流側に、水路がすこし広くなっている場所があり、両岸に抽水植物が繁茂して、昔の河北潟のおもかげが残っています。ハスは初夏から真夏にかけて、大きな丸い葉を一面に拡げて白い花を咲かせていましたが、数年前に一斉に消えてしまいました。(撮影 熊倉雅彦)
裏表紙 干拓地の枯れたタデにとまったまま、朝露に濡れて動けなくなった赤とんぼ。晩秋の朝日を受けて、翅の乾くまでじっと我慢しています。今回のカレンダーのテーマは「消える風景」ですが、こんなほっとするような風景が、今の河北潟には残っています。少しずつ河北潟は変化していますが、密やかに生き続ける命があることを願います。(撮影 中川富男)
1月 タヌキやキツネ、ノウサギなど、河北潟の湖岸や砂丘には、たくさんの哺乳類が生息しています。普段あまり見かけませんが、こうした動物の存在は、足跡や、糞、食痕といったものからわかります。動物の生態調査には重要な情報です。これは砂丘の冬の朝の風景です。奧の足跡はノウサギです。砂丘の開発が進み、足跡も少なくなりました。(撮影 高橋 久)
2月 河北潟では、津幡川の河口や金腐川の河口などの一部の場所を除いて、湖岸のヨシが衰退しています。原因には、地盤沈下や潟への土砂の供給の減少など、いろいろと考えられますが、全国の湖でも同様の傾向がみられるようです。これは、群落から孤立して株化したヨシです。何となく風情があるようにも見えますが、実は寂しい風景です。(撮影 高橋 久)
3月 かつての東蚊爪の農地の風景です。河北潟の周辺に残っていた唯一のハサ木でした。ハサ木は刈り取った稲を干す場所です。舟入川を行き交う稲を積んだ舟とハサ木にかけられた稲束は、河北潟の秋の風物詩でした。舟入川が農道に替わり、コンバインでの収穫となり、ほ場整備に伴って、残っていたハサ木も切り倒されてしまいました。(撮影 白井伸和)
4月 河北潟干拓地の春を彩るダイコンの花畑です。河北潟が干拓され、広大な湖底が現れました。ひび割れた泥の間からヨシが芽吹き、一面のヨシ原が生まれました。やがて耕地整理が始まり、野菜畑や麦畑、牧草地に変わりました。休耕地には野生化したダイコンや菜の花が繁茂します。周辺の農地の整備が進む中での残された貴重な風景です。(撮影 熊倉雅彦)
5月 東部承水路脇のビオトープのアサザです。造成して2年目に、みごとな群落となりました。3年目以降、アサザが極端に減少しました。原因はアメリカザリガニでした。ことごとく葉柄を切ってしまうのです。現在、河北潟でアサザがみられるのはザリガニが住まない、鋼矢板で護岸された深い水路だけ。昔の風景は、まだ再生できていません。(撮影 熊倉雅彦)
6月 河北潟に夏を告げる鳥には、オオヨシキリとともにコヨシキリがいます。オオヨシキリがヨシ原を好むのに対して、コヨシキリはもう少し背の低い草地を好みます。干拓地の休耕地が少なくなり、管理が行き届いてきたことで、コヨシキリの姿はめっきり減りました。今はもうほとんど出会うことのできない風景となりました。(撮影 中川富男)
7月 水草の繁茂する小規模の農業用水路。河北潟の周辺では、ほ場整備が進み、土水路がなくなり、こうした風景もめったに見ることはできません。群落のほとんどはヒシですが、手前に写っているやや色の薄い葉はトチカガミです。かつて、西部承水路で大群落をつくっていたこともありましたが、この2〜3年でまったく姿を消してしまいました。(撮影 白井伸和)
8月 アサザ群落の中に子ガメがいました。かつての湖岸の生態系を再生することを目指して造成した、ビオトープのなかで生まれました。でも見つかったのは、外来種のミシシッピアカミミガメでした。環境が変わり、生物相も変わります。その中で、新しい生態系が育っています。ただ、本来の河北潟の生物がいる風景は、消えつつあるようです。(撮影 熊倉雅彦)
9月 農薬の使用が減ってきているのか、一時はほぼ消滅したかに見えた河北潟のミズアオイですが、種子は土の中でじっと機会を窺っていたようです。最近ではハス田や水路で、ちらほらと紫の花を見ることができるようになりました。まれに大きな群落をつくっているのも見かけます。河北潟のなかに戻ってきた、数少ない風景のひとつです。(撮影 野村卓之)
10月 静かな夕暮れ、秋の湖岸の風景です。潟漁が盛んだった頃には、家路に就く舟人の櫂を漕ぐ姿が、湖面に長い影となって映し出されていたかもしれません。干拓後、潟漁が廃れ、湖面の人影も少なくなり、夕暮れの湖面は一層寂しくなりました。しかし、最近はモーターボートを使うレジャーが増え、河北潟の湖面も騒がしくなってきました。(撮影 高橋 久)
11月 かつては冬鳥だったカンムリカイツブリ。近年、河北潟での繁殖が確認され、夏でも出会うことのできる鳥となりました。この鳥にとって河北潟は住みやすい環境に変わっているのでしょうか。このようにして、河北潟に新しくやってきた生物たちが、これからの河北潟の新しい風景をつくっていくかもしれません。(撮影 熊倉雅彦)

12月 干拓地の中央排水路のミクリ群落です。冬になり、地上部は枯れていますが、確実にこの水路に定着しています。河北潟では、まとまった群落がみられる唯一の場所です。水路などで繁茂するために、農業にとっては有害雑草でした。今は貴重なものとなってしまい、農用地であっても、保全の対象として、農業との共存が図られています。(撮影 白井伸和)

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