2001年に取り組まれる河北潟周辺での大規模事業計画について

 石川県の来年度予算に盛り込まれる事業が明らかになるに従い、河北潟周辺で行われる事業についても報道されています。
 県営圃場整備事業としては、「全国枠で919億円が盛り込まれ、金沢市才田、高松町二ツ屋、羽咋市の新保と中川・太田のの4地区で新規採用が有力」(北國新聞12月22日付)となっています。金沢市才田地区は、周辺において大型商業施設や瑞木団地などの大規模な開発が進んでおり、環境の急激な改変が進みつつある地域です。こうした状況の中で現在まで残されている古い形態の水田は、野生生物が住むことのできる環境として重要です。才田地区の圃場には、貴重な水草やメダカなどが生息しています。圃場整備にあたっては、こうした野生生物への配慮が求められます。
 七塚海岸木津地区で砂浜の浸食対策として延長375メートルの「人工リーフ」が2基設置されるみこみです(北國新聞12月22日付)。七塚海岸においても周辺河川の砂防ダムの建設などにより海岸の浸食が激しい現状がありますが、人工構造物を設置することによる砂浜や海岸の生態系への影響について十分に留意する必要があります。
 金沢市戸板第2地区土地区画整理事業が補助対象に新規採択されました。この地区は当ホームページでも紹介してきましたが、金沢駅から約2キロの地点で、市の中心部に近いわりに市街地化が進んでいない貴重な場所です。報道によると「金沢外環状道路海側幹線に接続する放射幹線道路の観音堂上辰巳線を含む住宅地を形成する。道路整備事業の全国枠のほぼ満額となる3兆7405億円が認められた。」(北國新聞12月22日付)とされています。
 また、民間事業としては、内灘町向粟崎国内最大級のアウトレットモールを含む大規模な複合施設を建設する動きが出ています(北國新聞12月23日付)。向粟崎地区は、内灘砂丘の端部に位置していますが、海岸林や砂地性の草原が見られる場所で独特の自然環境が存在します。
 河北潟周辺では、新たにビオトープなどが整備される状況もありますが、これらの報道をみる限り、年々、身近な自然の開発が進んでいることがわかります。身近な自然を守ることと地域振興を計ることの間には、場合によっては相容れない場合もありますが、21世紀の最初の年に取り組まれる事業でもあり、できるだけ開発と自然環境の共存を計るための努力が求められます。

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