河北潟のバス釣りグループが野鳥に配慮したルールを策定
  
−湖岸に営巣するチュウヒの繁殖期に一定の自主規制を設けることに−

 河北潟はもともと汽水性の湖で多様な魚類が生息していました。以前の河北潟では生業としての潟漁がおこなわれ、ボラやスズキなどの海水魚とともにフナやウナギなどの淡水に棲む魚も獲られていました。近年の水質の悪化や、干拓に伴う潟の面積の縮小、淡水化などにより、潟漁は衰退しました。同時に住民と潟の魚とのつながりは薄くなり、河北潟への人々の関心も少なくなりました。現在趣味としておこなわれている河北潟での釣りは、現代における河北潟と住民との大事な接点になっています。
 河北潟ではヘラブナ釣りやコイ釣りが以前からよくおこなわれてきましたが、最近では、ブラックバスの釣りも盛んにおこなわれています。潟を利用することで、潟に関心を持つ人が増えることは良いことですが、開発により平野部の湿地や草原が少なくなっている状況の下で、河北潟は野生生物の重要な生息環境となっています。潟を利用する場合にはできるだけ、潟に棲むさまざまな生物の生息が悪化しないような配慮が求められます。
 最近ブラックバスの水域生態系への影響や密放流の問題が指摘される中で、ブラックバスの釣りをおこなう人たちのなかには、自然環境の保全や野生生物との共生について積極的に取り組もうという動きが見られます。河北潟を主な釣り場とするグループである、ランカースナイパーズと日本バスクラブ石川支部もそうした考えをもつ人たちの集まりです。これまで、河北潟クリーン作戦に参加したり、釣りのマナーの向上などに取り組んできました。
 河北潟湖沼研究所ではこの2つのグループの代表と3月16日に懇談をおこないました。2グループからは、河北潟のブラックバスはそれほど魚食性が強くないこと、生息数も限られていること、魚類や生態系へ深刻な影響をもたらしているのは、護岸やゴミの不法投棄、水質汚染などであるとの考えが示されました。また、私たちの側からは、湖岸をバスボートが行き交うことによって湖岸で繁殖する鳥類への影響が懸念されていることなどを伝えました。2つのグループは私たちの提案を積極的に受けとめ、河北潟の希少猛禽類であるチュウヒが繁殖する場所での育雛期の釣りを自粛することを決定し、この度、ホームページで発表しました。今回の決定は、河北潟を常に利用する団体が河北潟の自然環境保全へ取り組んだ先進的な例として注目されます。また、河北潟を野生生物の生息環境として認識している点で画期的なものです。
 全文は「河北潟ガイドサービス」のホームページhttp://homepage2.nifty.com/k-gs/index.htmに掲載されています。