金沢市有数のホタル生息地が消滅
   −田上本町地区でのモニタリング調査の結果について−

 金沢市田上本町地区では現在大規模な宅地造成がおこなわれていますが、この地区は金沢市の有数のホタルの生息地域でした。
 河北潟湖沼研究所・生物委員会は宅地造成が始まる前の1997年にこの地区におけるホタルの生息状況についての詳細な調査を実施していますが、その中で3000匹近いゲンジボタルの飛翔が確認されました。
 この調査の結果は河北潟湖沼研究所機関誌「河北潟総合研究」第2巻に掲載されています。

 
ゲンジボタルの生息する水路の状態を一つ一つ詳細に調査した(1997年6月)   ゲンジボタルの飛翔が多く見られた水路
 
造成前の田上本町地区(1997年6月)   田上本町地区を高台から望む(1997年6月)

 その後宅地造成が始まり、環境が大幅に改変されています。そこで造成が現在進行中の今年、改めて生息状況調査を実施しました。
 調査は、6月中に3回実施しましたが、前回の調査時に見られたホタルの群飛は確認されず、まだ残っている水路に点々と数個体の発光が確認されただけでした。

 
造成中の田上本町地区(2000年6月)   現在の田上本町地区の遠望。水田とほとんどの用水路は埋め立てられた。川岸もコンクリートで固められ、川辺林は消滅した。(2000年6月)

 河北潟湖沼研究所生物委員会では、河北潟と金沢市近郊の身近な自然の保全のための基礎研究をおこなっています。田上本町地区においても、造成後の水路の復活やホタルの保護のための基礎資料となる調査を続けていく予定です。

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