「河北潟総合研究」第6巻が刊行されました

 このたび刊行された「河北潟総合研究」第6巻には、干拓地の野生生物を取り巻く状況についてのホットな話題が盛りだくさんです。いくつかをご紹介します。

「河北潟干拓地における小型哺乳類の生息状況(2001年−02年)概況(大串龍一)」

 河北潟干拓地では、ノネズミの農作物への被害が問題となっていますが、そのほとんどはハタネズミによるものであると考えられます。しかし最近2年間に実施した調査では、ハタネズミの捕獲は少なく、アカネズミが圧倒的に多く、これは河北潟の過去20年間の調査ではみられなかった傾向です。ノネズミの農業被害対策を考える上で重要な基礎資料となっています。
pdfファイルはこちら→河北潟干拓地における小型哺乳類の生息状況(2001年−02年)概況

「河北潟におけるカメ類の生息状況(野田英樹・鎌田直人)」

 河北潟西部承水路のカメ類の生息状況が記録されています。外来種のアカミミガメがたくさん捕獲された一方で、もともと生息していたクサガメについては、老熟した個体のみが採取され、子ガメはまったく捕獲されまかったことなど、西部承水路のカメ類の重大な変化が記載されています。
pdfファイルはこちら→河北潟におけるカメ類の生息状況

「夜間干拓地に飛来するカモ類の牟礼の利用状況(第一報)(川原奈苗・高橋 久)」

 冬期、河北潟干拓地に飛来するカモ類は、麦に被害を与えるとして問題にされています。夜間飛来状況を調べてみると、麦畑だけでなく、刈り取りの終わったトウモロコシ畑や周辺の水田にも群れが確認され、麦畑以外にうまく群れを呼び込む仕組みを作れば、麦への被害を軽減できる等のアイディアが書かれています。
pdfファイルはこちら→夜間干拓地に飛来するカモ類の群れの利用環境(第一報)

「河北潟西部承水路の水生生物の現状−在来種の衰退とホテイアオイEichhornia crassipesの大繁殖について(高橋 久・永坂正夫・白井伸和・川原奈苗 )」

 西部承水路では、2002年にホテイアオイが大発生しました。その状況とともに在来種が静かに消失していることが記録されています。ホテイアオイの除去だけでなく、西部承水路を水草の生育環境とするための総合的な対策が必要であることが述べられています。
pdfファイルはこちら→河北潟西部承水路の水生生物の現状−在来種の衰退とホテイアオイEichhornia crassipesの大繁殖について