金沢城の貴重な自然と近年の変化をみる−いしかわビオトープ交流会が自然観察会を開催−

 いしかわビオトープ交流会主催の自然観察会が、さる6月23日に金沢城公園を会場におこなわれました。
 野外観察に先立って、大串龍一金沢大学名誉教授より「金沢城址公園の自然環境」という題で金沢城公園の特徴や生息する動植物、近年の変化についてのレクチャーを受けました。
 講演のなかで、金沢城公園の自然の特徴として、1)都市緑地としての価値が高いこと、2)人工緑地の一つの極であること、3)北陸の低地自然の代表としての意味があること、4)多様な動植物相が存在することなどが挙げられました。また、金大の移転やその後の整備、緑化フェアーの開催などにより、近年、1)樹木とくに低層植生の減少、2)乾燥の進行、3)動植物種類の減少、4)小立野台地の生物回廊の切断などの変化が起こっていることが説明されました。
 講演の後の観察会では、本丸跡地(旧金沢大学植物園)を中心に、新しくつくられた湿生園なども見て回りました。本丸跡地や内堀ではモリアオガエルの鳴き声や卵塊が確認できました。また、オオルリの鳴き声やキセルガイなど山地性の種も確認されました。しかし一方で、いくつかのポイントで金大移転前の写真と現状を参加者全員で見比べたときには、森の景観が大きく変わってきていることを実感させられました。
 いしかわビオトープ交流会では、今後、能登島や河北潟での観察会をおこなう予定です。いしかわビオトープ交流会についてのお問い合わせは交流会事務局まで。

 

 
大串龍一名誉教授による講演。金沢城の自然の価値や動植物の生息状況、最近変化についてわかりやすいレクチャーを受けた。   本丸跡地のモリアオガエルの池。今年の泡巣はなぜか小さめで、まだ卵塊数は少なかった。水質があまり良くないことが懸念される。