河北潟でカヤネズミの生息を確認
  

 カヤネズミは日本に生息するネズミの中で一番小さいネズミで、ヨシ原やススキ、マコモなどイネ科の草が生えているところに棲んでいます。最近はこのような草が生える河川や湖沼、農地は、圃場整備や水辺のコンクリート化などで人工化が進み、カヤネズミの生息環境は減少しています。しかし、石川県での生息状況はまだよく調べらておらず、県のレッドリストでは情報不足の種として扱われています。河北潟にはイネ科の植物が密生する環境が広がっているために、カヤネズミが生息している可能性はこれまでにも指摘されていましたが、今まで確認された報告はありませんでした。全国的にカヤネズミの減少が進んでいる状況の中で、河北潟に本種が生息するかどうかは、非常に関心が持たれることであると同時に、生息環境の保全が重要な課題となります。
 このたび、福井県敦賀市の中池見湿地でカヤネズミの調査をしている三谷 功さんの協力を得て、河北潟の生息状況の調査を実施することができました。承水路や排水路、金腐川の河口付近などカヤネズミが生息できそうな環境を選んで踏査をおこなったところ、カヤネズミの巣が金腐川の河口付近で確認されました。河北潟でのはじめての確認です。
 道路やコンクリート護岸など開けた裸地を移動することのないカヤネズミは、いまの河北潟の環境では生息しにくいことが予想されますが、金腐川の河口域は比較的自然な状態で残されており、連続したヨシ原が続いていることから、生息に適していると考えられます。
 巣が確認されたこの河口域を中心に、今後調査をすすめ、カヤネズミが生息する環境を明らかにしていきたいと思います。

 

カヤネズミの巣が確認された金腐川河口。 カヤネズミは草の葉をさいて球状の巣を作り、草と草の間に巣をかけます。(この写真の球巣は、今回河北潟で確認されたのものではありません)