野生生物が住める湖岸へ
  −河北潟の自然再生へ繋がる堤防改修を求める−

 1960年代の高度成長時代につくられた河北潟の堤防護岸は、経済性・合理性のみが求められているため、直線的で、野生生物の生息環境や景観上の配慮はなされていません。30年以上が経過して、堤防全体の沈下が進み、一部では陥没したりしています。県では平成18年度までに才田から八田にかけての堤防を全面的に改修することを計画しています。
 河北潟の直線的な湖岸堤防の問題点については、河北潟湖沼研究所生物委員会が1999年に作成した、「河北潟将来構想」の中でも指摘し、水生植物が生育できるような湖岸改修を提案しています。また、今年発足した河北潟自然再生協議会でも、「河北潟の自然再生構想」のなかで、「直線とコンクリートの湖岸から植物と動物の育つ湖岸へ」の改良を一つの重要な課題として挙げています。
 今回の堤防改修に当たっては、こうしたNPOや住民からの提案が生かされ、河北潟の環境改善に繋がる改修がおこなわれることが大いに求められます。
 12月県議会では、長井賢誓議員の質問に答えるかたちで、谷本正憲知事が、河北潟の護岸堤防の改修に当たっては、環境調査の実施、専門家と住民の意見を十分に聞く事を前提に進め、環境に配慮した整備をすすめる、具体的には、浅い箇所では、堤防のスロープに水生植物が生息できるようにする。深いところでは魚巣をつくることを答弁しました。
 こうした答弁に沿って河北潟の護岸改修が取り組まれれば、今後、住民と行政の協力して河北潟の環境改善に取り組む重要な契機となることが考えられます。
 河北潟の湖岸の再生を、住民と行政、専門家の協働により実現するためには、それぞれの情報交換が密接におこなわれるような場の設定が重要となると思われます。

 
沈下が進む現在の護岸堤防(才田町)。1m以上沈下しているものと思われる(もとの堤防の位置を黄色線で示した)。   沈下が進行し、堤防を被うアスファルトも一部崩れ、土台の砂が流れ出している箇所もある。