干拓地にコハクチョウが飛来

写真のほぼ中央に横に並んで見える白い塊がコハクチョウの群れ。40羽ほどが飛来していた(手前の2列は畦に残る雪、その奥の白い列です)。

 干拓地にコハクチョウの群が飛来しました。確認したのは2003年1月15日でした。コハクチョウは、毎年11月頃に河北潟地域に飛来しますが、水田で二番穂をついばむことが多いため、普段は河北潟の東側にひろがる水田で越冬しています。干拓地はすぐ隣にある広い農地であるにもかかわらず、コハクチョウはほとんどやってきません。それは、減反政策によって水田が営まれていないため、コハクチョウが餌を食べることのできる環境がほとんどないからです。今回飛来が確認された場所は、東部承水路の湖北大橋を渡った左側で、干拓地の中でも唯一数年前から実験用の水田がつくられている場所です。
 せっかく干拓地にやってきたコハクチョウには、ゆっくりと滞在してもらいたいものですが、この水田に飛来したコハクチョウを観察していると、なかなか落ち着いていられない状況にあることがわかりました。コハクチョウは警戒すると、首を上に伸ばした姿勢になります。ここでは数分経たない間にこういった姿勢になり、餌をついばむことさえままならない様子でした。頻繁に警戒する原因は、車、そして異常に接近してくる人間です。この水田は交通量の多い幹線道路に面しています。また、美しいコハクチョウを写真におさめようと訪れる人がいます。車道に車が停車した時点で、コハクチョウはかなり警戒しますが、さらに農道を歩いてどんどん近づいて写真を撮る人がいます。こういった行為は、人に対しての警戒心を強めることにつながります。
 2月から3月にまた北へ旅立っていくコハクチョウにとって、冬のあいだは餌を十分に食べて体力を養う大切な時期にあります。北陸の冬の使者であるコハクチョウが、河北潟で十分に羽を休められるよう、そしてまた次の冬に戻ってくるように皆で見守ってあげましょう。(川原奈苗)