河北潟干拓地における農業と野鳥の共存の道を探る取り組みについて

 河北潟干拓地において、今秋からカモによる麦やレンコンの食害を防ぐための新しい試みが始まることが報じられています(北陸中日新聞2000年10月5日付)。これは現在干拓地内で水稲の試験栽培をおこなっている水田において、刈り取り後も水を張り水鳥のための「おとり池」をつくるものです。こうした方法が農作物の食害を防ぐ上で効果があるかどうかは不明ですが、農業と野鳥の共存を進めていくうえでひとつの積極的な取り組みとして評価できるものと考えられます。
 また別の新聞報道によると、これまで河北潟干拓地内のレンコン田で問題となっていた防鳥ネットが改良された新型に切り替えられる見通しです(北陸中日新聞2000年10月7日付)。これまで干拓地内の多くのレンコン田には、カモによるレンコンの食害を防ぐという理由から防鳥ネットが掛けられていましたが、このネットは野鳥が絡まりやすい構造であったことから、カモ類だけでなく多くのシギ・チドリ類や希少猛禽類などが犠牲になっています。今年本格的に採用されることとなった新型ネットは、ステンレス製の番線でできているため、これまでよりは野鳥の羽が絡まりにくい構造となっているのが特徴です。カモによるレンコンの食害やその対策を巡ってはまだ多くの課題を残していますが、生産者を含め野鳥を保護する方向での取り組みがでてきたことは評価できます。
 河北潟湖沼研究所では、パンフレット「河北潟将来構想」を作成し干拓地における農業と野生生物の共存の重要性を訴えてきましたが、自身も共存のための方法や技術に関しての調査・研究を開始しています(関連記事はこちらから)。

 

 これまでの防鳥網は羽が絡まりやすく、多くの野鳥が犠牲になってきた。

 

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