津幡町漕艇場横のビオトープのアサザが咲きました

 県津幡農林総合事務所では、昨年、湛水防除事業によって改修されることとなった希少植物「アサザ」がの自生する水路の代替地として、水路脇の土地をビオトープとして整備しました。このビオトープは津幡町漕艇場の隣に位置しています。これまで、河北潟周辺では、代替地へのアサザの大規模な移植はおこなわれたことがないため、今回の移植は慎重におこなわれました。
 事前の調査により、河北潟の東側では今回改修された水路にのみアサザの生息が確認されたため、水路改修によってアサザの系統が失われることの無いように、保全のための代替措置としてビオトープが計画されました。移植にあったっては、まず自生地のうち半分のみの工事をおこない、工事の際にアサザの根を含む底泥を水路の続きの既に改修が終わっている区間に移しました(昨年春まで)。底泥を移した区間からはアサザが芽を出し定着したことを確認しました(昨年夏)。つぎに残り半分区間の工事にあたっては、造成されたビオトープに底泥を移しました。同時に、昨年秋のうちにアサザの株を一部採集し、室内で保管しておきました。この株は今年の早春にビオトープに移植しました。春には、移植した株からも、底泥の中からもアサザが発芽しました。5月28日に河北潟湖沼研究所のメンバーが確認したところ、4個の花が咲いていました。現在のところ順調にアサザが育っているようです。
 水路改修にあたっての事前調査は津幡農林事務所の委託を受けて河北潟湖沼研究所がおこないました。また、ビオトープの設計にあっては、研究所の高橋久理事が基本設計の一部を担当しました。ビオトープへの植栽とその後の監視は河北潟湖沼研究所生物委員会のメンバーによりおこなわれています。これまでアサザの他に、周辺で一ヶ所しか確認されなかったミズアオイも、種を採取し、移植しました。

 
漕艇場横のビオトープのほぼ全景。造成後間もないため、陸上の植生はまだ貧弱である。   定着したアサザの群落(こちらは水路から移した底泥から発芽したもの)
     
 
アサザの花が、群落の奥の方に2個咲いている。   陸上で咲いていたキショウブ。もともと外来の植物であるが、河北潟の水辺には多くみられる。