宇ノ気川重油流出事故からの教訓
   −河北潟湖沼研究所通信6巻4号で沢野伸浩理事が報告−

 沢野伸浩河北潟湖沼研究所理事(星稜女子短期大学)は、このほど「河北潟湖沼研究所通信」6巻4号のなかで、今年1月に起こった宇ノ気川重油流出事故の経過と、事故への対応の問題点、教訓などをまとめ、報告しました。
 報告の中で、沢野氏は、今回の油流出の対応措置として「中和剤」を油を流出させたパイプから川に流したことの問題点を指摘し、「川や湖に流出した油が流れ込む可能性がある場合、その使用が考慮されること自体がもはや「非常識」の範疇に入る」と述べています。
 また、「中和剤」自体が本来「流出した油を溶媒で「溶かし」それを合成洗剤を使って「分散」させているに過ぎない」ものであること、「通常分散剤は散布後船のスクリュー等での十分な攪拌が必須とされ、十分な攪拌の範囲を確保するために2m以上の水深が必要」なものであり、水深の浅い河北潟や宇ノ気川で使用することには問題があることを指摘しています。
 今回の事故は幸いにも大雪のためにできた自然のオイルフェンスにより、河北潟への拡散が食い止められましたが、4年前のナホトカ号事故の教訓が生かされなかった問題についても、沢野氏はきびしく指摘しています。そして、今後の対策としてまず、「専門家データベース」をつくることの必要性を提案しています。

事件発生直後の流出源の重油タンク。報道各社が集まっていた。(1月22日午前8時40分沢野氏撮影)

 沢野氏の報告が掲載されている「河北潟湖沼研究所通信」6巻4号はこちらからダウンロードできます。

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