野生生物の生息場所を示すドイツ語(BIOTOP)で,ある程度の景観的なまとまりをもち,野生生物が十分に生息可能な空間を意味している.池沼,湿地,草地,雑木林などや,具体的には河畔林,谷津田,社叢,屋敷林などもビオトープの単位と考えられる.景観を伴うことにより具体的であり,また,「「特定の」ビオトープは,人工化された地域内では,「斑点状」に残されている狭小な自然空間であ」(杉山,1993)ることから,保全・復元の対象として取り上げやすいことから、最近頻繁に使われるようになった。
ビオトープとは、特に自然環境の減少しつつある地域において、自然環境を保全するためのキーワードである。
「人工自然」を意味するカタカナ語。本来そこにある自然を破壊して別の擬似自然環境を造成すること。おおむね元の環境よりは生態的価値の低いものとなる。ほとんどの場合、水域を中心とする環境が造成されるが、特定のマニュアルに基づいて設計されるため、全国的に同じ形の水辺が出現することになる。開発行為の代償的処置として、親水施設などを造成する場合にも用いられる。
ビオトープとは、土木関連業界における新事業展開のためのキーワードである。
全国各地で盛んにビオトープづくりがおこなわれるようになりました。公共事業においても自然環境と野生生物への配慮が優先されるようになってきました。環境の修復や改善のためのビオトープが造成されることは奨励されるべきで、それを技術的に支える有能な企業の健全な成長も不可欠です。しかし、従来の公共事業の枠組内だけでは、多様性のある地域に即したビオトープづくりは難しく、歪曲されたビオトープ概念が首をもたげてきます。
計画・設計段階や施工段階で本来のビオトープの意味が失われないためには、行政と企業のみが取り組むのではなく、計画への市民の積極的参加と専門家を含めた監視体制が必要です。
(2000年2月1日配信)