血ノ川にはアサザが繁茂、大宮川にはホテイアオイが発生
  
−秋の河北潟周辺の水草の状況−

 6月9日付のニュースでお知らせしましたが、今年は金沢市木越地区を流れる血ノ川で、アサザが殖えています。数年前にはみられなかったものが、最近河川改修で土砂が取り除かれたなどの、何らかの効果でアサザが発生したものと思われます。9月下旬の時点で、河口付近と木越地区の約300mほどの区間に大きな群落をつくっています。この秋の時点で河北潟周辺ではもっとも大きな自生地となっています。
 一方、血ノ川と並行して流れる大宮川の河口近くの天狗橋付近では、外来種のホテイアオイが発生しています。春から初夏にかけてはみられなかったもので、上流から流れ着いたものか、この場所に持ち込まれた個体から株分かれして増えているものとも思われます。今のところ極端に大きな群落には成長していませんが、河北潟では、近年ホテイアオイが越冬することが確認されており、越冬個体が発生すると、春先から徐々に拡大するため、その年の夏以降に大増殖する可能性があります。昨年は、西部承水路でホテイアオイが大発生して問題になっています(詳しくはこちら)。今後の動向を注意していく必要があります。
 大宮川も血ノ川も、近年、河川改修がおこなわれ水位調節の樋門や排水ポンプが設置されています。血ノ川では、どうも排水ポンプの設置に伴う底泥の移動が、アサザの生育に有利に働いたようですが、大宮川においては、水位調節の樋門の設置が富栄養化した止水環境をつくり、ホテイアオイにとっての絶好の環境を創り出している可能性が考えられます。人為的な水域のかく乱が、地域の水環境と生物相に大きな影響を与えることになる例として、隣り合わせの川が示していることをよく学ぶ必要がありそうです。(生物委員会 高橋 久)

 
大宮川のホテイアオイ。しばらくぶりに大宮川を観察したら、いつの間にか群落を形成していた。(9/27撮影)   血ノ川のアサザ群落。春の時点と比べるとかなり大きな群落に成長していた。(9/27撮影)