西部承水路のアサザとトチカガミが消滅の危機

 河北潟湖沼研究所生物委員会では、河北潟と周辺水域の水草の調査を実施しています。さる6月9日には、西部承水路の全域調査を実施しました。この日は生物委員会4名+友の会有志1名の総勢5人が二組に分かれ、両岸から西部承水路の全域を歩いて、詳細な調査をおこないました。
 その結果数年前までは、西部承水路の下流の広範囲に点在していたアサザは、今回は数カ所できわめて小さな群落が確認されただけでした。トチカガミは既にご紹介した古い舟の中の群落の他にも数地点で数株を確認することができましたが、その場所は数年前までは、大群落を形成していた場所です。今年は、わずかな生き残りが残っているだけの状況となっています。
 一方、今春越冬が確認された外来種のホテイアオイは、今回の調査で点々と群落が確認されました。生育状況はまだそれほど旺盛ではありませんが、本格的な夏を前にして今後の増殖が予想され、他の在来種を圧迫することが懸念されます。、また現在水路は土砂やヘドロの堆積が顕著で一部陸化しているため、水草保全のためには、部分的な土砂の取り除きなどの対策が必要となっています。
 アサザとトチカガミについては何らかの保全対策を講じないと、ほぼ消滅することが確実な状況です。生物委員会では、とりあえず系統の保存対策はおこなっていますが、いうまでもなく自生地の保全が最重要です。

 
今回、西部承水路で確認したアサザの群落のうち、最大のもの(中央の浮いている丸い葉の部分)。他の植生に押され気味で今後の生存が懸念される。   確認されたトチカガミ。このように単体で何カ所かで確認された。あまり生育状況は良くない。今後夏に向けて群落を形成できるかどうか見極めたい。
     
 
夏に向けて増殖が予想されるホテイアオイ(中央部の丸い葉)。増殖しつつある越冬個体が点在していた。昨年は大群落を形成した。   一部が陸化しつつある、西部承水路の現状。
     
 
調査風景。今回は友の会からも参加者があり、いつもに増して真剣に?調査をおこなった。   水草を採取して調べている様子。