河北潟湖沼研究所が農家と取り組む河北潟の水辺・田んぼの生物多様性を保全するお米
2017年より、NPO法人河北潟湖沼研究所が直接栽培する生きもの元気米ができました!
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生産者:河北潟湖沼研究所
担当スタッフ川原奈苗
生きもの元気米生産地:金沢市二日市町
石川県金沢市二日市町ロ96(約821平方メートル)
5月4日代掻き | 5月9日田植え |
5月28日の田んぼの様子 | 6月28日の田んぼの様子 |
8月31日の田んぼの様子 | 9月2日 稲刈りの様子 |
流れのない泥のあるところを好むドジョウは、田んぼが棲みやすいようで、この田んぼがある辺りでも昔はたくさんいたので、毎年6月の終わりから7月中頃にかけてドジョウ捕りがおこなわれたそうです。ドジョウがたくさんいる田んぼでは水落口にウイをあてて落水するといった簡単な方法で捕れそうな。今年は、そんな昔の田んぼの状態に戻ったのではないかと思うくらい、ドジョウがたくさんみられました。ドジョウが数を増やすことができる環境が戻ってきたようで嬉しく思います。
生きもの元気米7年目をむかえました。今年は田んぼにドジョウがたくさんみられました。行く先々にドジョウが見られて嬉しくなりました。ドジョウのほかカイエビ、トノサマガエルやニホンアマガエルのおたまじゃく、ヒメゲンゴロウやキベリヒラタガムシなどが元気によく動いて、ずいぶん生きものが元気な田んぼになったなという印象でした。夏の豪雨のあとには、水面に葉を浮かべる水生植物のアサザが現れました。 |
〈田んぼの中の除草剤や殺虫剤の使用削減により増える主な生きもの〉 |
イチョウウキゴケ |
ヒメミズカマキリ |
ヒメゲンゴロウ幼虫、チビゲンゴロウ成虫 |
ヤマトゴマフガムシ、キベリヒラタガムシ |
アカネ類幼虫 |
〈畦除草剤を使用しないことで増える主な生きもの〉 |
コケオトギリ、セリ |
イナゴ類 |
〈田んぼが湛水されることで増える主な生きもの〉 |
トノサマガエル幼生 |
ニホンアマガエル幼生 |
〈そのほか田んぼの生物多様性の点から重要な主な生きもの〉 |
ドブシジミ |
ハッタミミズ |
イトミミズ類 |
ユスリカ類(幼虫)、成虫 |
カイエビ |
キクズキコモリグモ、 ハエトリグモ類、 ヤハズハエトリ、 カニグモ類、 ヒメグモ科の一種 |
〈水域のネットワーク化により増えると思われる主な生きもの〉 |
ドジョウ |
そのほかの動物 |
ヒメタニシ |
ヒメモノアラガイ |
サカマキガイ |
コミズムシ属の一種A |
コミズムシ属の一種B |
ヒメアメンボ |
イネミズゾウムシ成虫 |
キリウジガガンボ成虫、幼虫 |
クサガメ |
キリギリス類 |
ショウリョウバッタ |
トビイロケアリ |
アオバアリガタハネカクシ |
メダカハネカクシ |
コガシラハネカクシ |
ハマトビムシ |
ミイデラゴミムシ |
アリ |
小型ガ類成虫 |
ガ類蛹 |
ドジョウ | ヒメミズカマキリ |
科名 | 種名 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
ウキゴケ科 | イチョウウキゴケ | 〇 | ||||||
トクサ | スギナ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
イノモトソウ | ヒメミズワラビ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
サトイモ科 | ウキクサ | 〇 | 〇 | |||||
オモダカ科 | オモダカ | 〇 | ||||||
ツユクサ | ツユクサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
イボクサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ミズアオイ | コナギ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
イグサ | イグサ | |||||||
クサイ | 〇 | 〇 | ||||||
カヤツリグサ | コゴメガヤツリ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ヒンジガヤツリ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
カヤツリグサ | 〇 | 〇 | ||||||
テンツキ | 〇 | 〇 | ||||||
ヒデリコ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
ホタルイ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
スゲ属の一種 | 〇 | |||||||
イネ | スズメノテッポウ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
コブナグサ | 〇 | 〇 | ||||||
ギョウギシバ | 〇 | 〇 | ||||||
メヒシバ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
アゼガヤ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ケイヌビエ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
ミズタカモジグサ | 〇 | |||||||
チガヤ | 〇 | |||||||
ホソムギ | 〇 | |||||||
アオコメガヤ | 〇 | |||||||
ヨシ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
スズメノカタビラ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
オオスズメノカタビラ | 〇 | |||||||
ヒエガエリ | 〇 | 〇 | ||||||
アキノエノコログサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
キンエノコロ | 〇 | 〇 | ||||||
マコモ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
キンポウゲ | タガラシ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ベンケイソウ | ツルマンネングサ | 〇 | ||||||
コモチマンネングサ | 〇 | 〇 | ||||||
アカバナ | チョウジタデ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
マメ | クサネム | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ヤハズソウ | 〇 | |||||||
コメツブツメクサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
シロツメクサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ヤハズエンドウ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
スズメノエンドウ | 〇 | |||||||
カタバミ | カタバミ | 〇 | 〇 | |||||
トウダイグサ | エノキグサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
オトギリソウ | コケオトギリ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
アブラナ | タネツケバナ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
イヌガラシ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
スカシタゴボウ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
タデ | ヤナギタデ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ママコノシリヌグイ | 〇 | |||||||
ミゾソバ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
アレチギシギシ | 〇 | |||||||
ギシギシ | 〇 | 〇 | ||||||
ナデシコ | オランダミミナグサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
コハコベ | 〇 | |||||||
ザクロソウ | ザクロソウ | 〇 | ||||||
スベリヒユ | スベリヒユ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
アカネ | フタバムグラ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
オオバコ | オオバコ | 〇 | 〇 | |||||
タチイヌノフグリ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
オオイヌノフグリ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
アゼナ | ウリクサ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
アゼナ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
アメリカアゼナ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
シソ | トウバナ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
ヒメジソ | 〇 | |||||||
サギゴケ | トキワハゼ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
ハマウツボ | コゴメグサ | 〇 | ||||||
キク | ヨモギ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ノコンギク | 〇 | |||||||
アメリカセンダングサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
トキンソウ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
タカサブロウ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
ハルジオン | 〇 | |||||||
オオアレチノギク | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
ニガナ | 〇 | |||||||
アキノノゲシ | 〇 | 〇 | ||||||
ハハコグサ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
セイタカアワダチソウ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
オニノゲシ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
セイヨウタンポポ | 〇 | |||||||
ウコギ | ノチドメ | 〇 | ||||||
オオチドメ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
セリ | シャク | 〇 | ||||||
セリ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ウキゴケ | イチョウウキゴケ | 〇 | 〇 | |||||
33 | 38 | 30 | 44 | 50 | 50 | 43 |
アサザ | |
農薬不使用
・・・農薬は一切使用していません。
◎ネオニコチノイド系農薬不使用(苗にも使っていません)
◎ラジコンヘリによる殺虫剤の空中散布なし
◎畦の除草剤不使用
有機発酵鶏糞(使用時期:2023年4月23日)(使用量:120kg)
有機アグレットeco825(使用時期:2023年5月30日)(使用量:20kg)
コシヒカリ
2023年5月9日
1)昆虫スイーピング調査
2)底生生物調査
3)植物調査
*調査員 川原奈苗(NPO法人河北潟湖沼研究所)
河北潟湖沼研究所よりメッセージ
河北潟地域の田んぼ
田んぼは、低湿地帯に生息する野生動植物にとって大事な環境で、お米を食べる人も田んぼの環境を見守っていく「生きもの元気米」をひろめるために、農薬に頼らない農業をすすめるために自分たちでも作っていこうと、2017年から栽培を始めました。農薬不使用の農業の可能性を探っていきたいと思います。
色々試しながらお米をつくりたい
田植え、稲刈りはスタッフで協力して行っています。2017年から2019年は手押しの田植え機を使い、2020年、2021年は手植えしました。農薬不使用で栽培しているので、草取りは手作業、田んぼの中を歩いて草取りしています。稲刈りは鎌での刈り取りと、バインダーを使って行っています。収獲した稲は、すべて稲架干しています。稲架干しは、大変な作業ですが、稲架が干された風景は美しく、その風景を見た地元の方からは懐かしいとの声が聞かれます。河北潟の周りの田んぼでは木舟が行き来する水路沿いに稲架が立ち並ぶことが秋の収穫風景でした。農薬に頼らない農の営み、生きもの、河北潟らしい美しい風景が残されて欲しいと思います。無農薬でしっかりお米ができるよう、色々試していきたいと思っています。