河北潟湖沼研究所が農家と取り組む河北潟の水辺・田んぼの生物多様性を保全するお米
このページでは、綿村裕さんの 2017年産 生きもの元気米について、以下の情報をご覧いただけます。
| 綿村さんは河北潟の南にある才田地域で長く米作りをされています。河北潟湖沼研究所が生きもの元気米の取り組みをはじめるときに、一番最初に参加すると言ってくださったのが綿村さんです。 どのような思いから参加するにいたったのか、お話をうかがいました。 |
生産者：綿村 裕さん
生きもの元気米生産地：金沢市才田町
石川県金沢市才田町東63番地（約4,000平方メートル）
 |
 |
| 5月17日の田んぼの様子 | 7月19日、穂が出始めです。 |
 |
 |
| 8月3日、穂が色づき始めています。 | 8月22日、重みを増してふくらんでいる稲穂です。 |
生きもの元気米4年目をむかえました。この田んぼでは、生きもの元気米をはじめる一年前から調査をしています。当初は畦の植物の種類が少なく、スギナが目立っていましたが、年々みられる種類が増え、ヘビイチゴやカタバミ、ヒメミズワラビなどもみられるようになりました。淡水産の巻貝のヒメタニシや二枚貝のドブシジミが多く、日本で一番長いハッタミミズが生息しています。ヒメガムシも確認されました。
この田んぼで見られた生きものを紹介します。
同じ田んぼの2014年の調査結果はこちら、2015年の結果はこちら、2016年の結果はこちらです。
| 鳥類 |
鳥類
ツバメ科 ツバメ
ムクドリ科 ムクドリ
スズメ科 スズメ
セキレイ科 ハクセキレイ
| 両生類 | |
| アマガエル科 | ニホンアマガエル |
| アカガエル科 | トノサマガエル |
両生類
アマガエル科 ニホンアマガエル
アカガエル科 トノサマガエル
昆虫類
トンボ目 ハラビロトンボ
シオカラトンボ
カメムシ目 アメンボのなかま
カイエビ科 カイエビ
| カイエビ科 | カイエビ |
| 確認種（年別） | ||||||
| 科名 | 種名 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 |
| シャジクモ | シャジクモ | ○ | ||||
| トクサ科 | スギナ | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 |
| イノモトソウ科 | ヒメミズワラビ | 〇 | ||||
| ドクダミ科 | ドクダミ | |||||
| サトイモ科 | ウキクサ | ○ | ○ | |||
| オモダカ科 | オモダカ | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
| ツユクサ科 | イボクサ | ○ | ○ | 〇 | ||
| ミズアオイ科 | コナギ | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
| イグサ科 | ヒメコウガイゼキショウ | 〇 | ||||
| イグサ | ○ | 〇 | ||||
| カヤツリグサ科 | チャガヤツリ | ○ | ○ | |||
| コゴメガヤツリ | ○ | ○ | ○ | |||
| カヤツリグサ | ○ | ○ | ||||
| テンツキ | 〇 | |||||
| ヒデリコ | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
| ヒンジガヤツリ | ○ | |||||
| ホタルイ | ○ | |||||
| イネ科 | スズメノテッポウ | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 |
| メヒシバ | ○ | ○ | ○ | 〇 | ||
| アキメヒシバ | ○ | |||||
| イヌビエ | ○ | ○ | ○ | |||
| オヒシバ | 〇 | |||||
| アゼガヤ | ○ | ○ | ||||
| オオクサキビ | ○ | |||||
| オオアワガエリ | ○ | |||||
| スズメノカタビラ | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
| オオスズメノカタビラ | ○ | ○ | 〇 | |||
| ヒエガエリ | ○ | ○ | 〇 | |||
| アキノエノコログサ | 〇 | |||||
| フシネキンエノコロ | 〇 | |||||
| キンエノコロ | 〇 | |||||
| アカバナ科 | チョウジタデ | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
| マメ科 | クサネム | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 |
| コメツブツメクサ | ○ | ○ | 〇 | |||
| シロツメクサ | ○ | ○ | ○ | 〇 | ||
| ヤハズエンドウ | ○ | ○ | ○ | 〇 | ||
| バラ科 | ヘビイチゴ | 〇 | ||||
| カタバミ科 | カタバミ | 〇 | ||||
| トウダイグサ科 | エノキグサ | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 |
| コニシキソウ | ○ | ○ | ||||
| オトギリソウ科 | コケオトギリ | ○ | ○ | 〇 | ||
| アブラナ科 | タネツケバナ | ○ | ||||
| スカシタゴボウ | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
| タデ科 | ヤナギタデ | ○ | ○ | |||
| アレチギシギシ | 〇 | |||||
| ナデシコ科 | オランダミミナグサ | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 |
| ヒユ科 | アカザ | ○ | ||||
| スベリヒユ科 | スベリヒユ | 〇 | ||||
| オオバコ科 | オオバコ | ○ | ○ | 〇 | ||
| タチイヌノフグリ | ○ | ○ | 〇 | |||
| オオイヌノフグリ | 〇 | |||||
| アゼナ科 | アメリカアゼナ | ○ | ○ | ○ | ||
| サギゴケ科 | トキワハゼ | ○ | ||||
| キク科 | アメリカセンダングサ | ○ | 〇 | |||
| トキンソウ | ○ | |||||
| ベニバナボロギク | ○ | |||||
| タカサブロウ | ○ | 〇 | ||||
| ヒメジョオン | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
| ヒメムカシヨモギ | ○ | |||||
| ハルジオン | 〇 | |||||
| オオアレチノギク | ○ | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
| ニガナ | ○ | ○ | ||||
| ハハコグサ | ○ | ○ | 〇 | |||
| ノボロギク | ○ | ○ | ||||
| セイタカアワダチソウ | ○ | ○ | ○ | 〇 | ||
| アキノキリンソウ | 〇 | |||||
| オニノゲシ | ○ | 〇 | ||||
| ノゲシ | ○ | |||||
| セイヨウタンポポ | ○ | ○ | 〇 | |||
| セリ科 | セリ | ○ | ||||
| ウキゴケ科 | イチョウウキゴケ | ○ | ||||
| 25 | 31 | 36 | 31 | 44 | ||
・田んぼの中で使用された農薬
ドニチS（使用時期：2017年5月13日）（使用量：1kg/10a）
・苗に使用された農薬
ダコレート、パダン
＊この使用量は石川県の慣行に比べて、7割以上少ない量です。
◎ネオニコチノイド系農薬不使用（苗にも使っていません）
◎ラジコンヘリによる殺虫剤の空中散布なし
◎畦の除草剤不使用
新コシ一発（使用時期：2017年5月4日）（使用量：40kg/10a）
コシヒカリ
5月4日
一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストより助成を受けました。
地球環境基金より助成を受けました。
綿村さんからのメッセージ
金沢市才田町は米づくりの文化を持つ町
今から5年ほど前までは、2ha程度の田んぼでお米を作っていました。才田の辺りは昔から農業が営まれてきた地域で、一軒あたり大体2ha程度の田んぼを持っています。当時は収穫したお米の仕上がりを楽しみにしていましたが、会社経営の傍らの収穫作業を続けるのが年々難しくなり、現在では40aを残し、残りの田んぼは貸し出してお米を作ってもらっています。
才田地域の文化をなくさないめに
現在は多くの方が、ほかの人に土地を貸して作ってもらっていますが、田んぼを維持するためには様々な費用がかかるため、土地を手放す人が多いのも現状です。このままでは才田の文化や景観が失われていく可能性がある中で、お米の価値を高め、健全な農業ができるよう将来につないでいきたいと思っていました。
人や生きものにやさしい農業で才田地域を活性化したい
そのような思いがある中で、１年前に私の田んぼの生きものを調べてもらう機会がありました。その結果、ほとんど生きものがいない事実を知り、正直ショックでした。
私が思うこれからの農業は、人や生きものに優しい農業です。これを実現する米づくりを広げていき、環境へ配慮したブランド米をつくり、地域を活性化したい、との思いから「生きもの元気米」の取り組みへの参加を決めました。