河北潟湖沼研究所が農家と取り組む河北潟の水辺・田んぼの生物多様性を保全するお米
このページでは、中村明さんの2016年産生きもの元気米について、以下の情報をご覧いただけます。
金沢市八田町は環境省のレッドリストで絶滅危惧種にも指定されているハッタミミズが最初に見つかったところです。中村さんはこの八田町でお米作りを続けています。干拓前の河北潟のようすをよく知る中村さんは、かつてのように生きものがたくさんいる環境に少しでも戻ってほしいとの思いから、生きもの元気米に参加しています。 |
生産者:中村 明さん
生きもの元気米生産地:金沢市八田町
石川県金沢市八田町中89 (約1,734平方メートル)
4月20日、田植え前の中村さんの田んぼ。 | 5月18日、田植えから19日目の中村さんの田んぼ。 |
7月28日、稲穂が出そろっています。 | 8月24日、シオカラトンボがたくさん飛んでいました。 |
8月24日、稲穂がきれいな黄金色です。 |
この田んぼは、生きもの元気米4年目をむかえました。畦の草刈がいつも丁寧にされていることから、背丈の低い植物の種類が多くみられ、可愛らしい花を咲かせます。クモ類が多いのもこの田んぼの特徴で、穂が出る前の7月には田んぼ全面的にコガネグモのなかまによるクモの巣が無数に張られ、害虫を食べる益虫がとても多い様子がわかります。秋にはイナゴをつかまえたクモが観察されました。
1)昆虫スイーピング調査
2)底生生物調査
3)植物調査
*調査員 川原奈苗(NPO法人河北潟湖沼研究所)
*生きもの調査の結果はこの下に田んぼの生きものリストとして表示しています。
同じ田んぼの2014年のリストはこちら、2015年はこちらです。
科名 | 種名 |
鳥類 | |
ツバメ科 | ツバメ |
ムクドリ科 | ムクドリ |
ヒタキ科 | ツグミ |
爬虫類 | |
ナミヘビ科 | アオダイショウ |
両生類 | |
アマガエル科 | ニホンアマガエル |
昆虫類 | |
トンボ目 | シオカラトンボ |
クモ目 | アシナガグモのなかま |
コガネグモのなかま | |
カニグモのなかま | |
ハエトリグモのなかま | |
バッタ目 | ショウリョウバッタ |
ハネナガイナゴ | |
カメムシ目 | トビイロウンカ |
セジロウンカ | |
ヒメトビウンカ | |
ヘクソカズラグンバイ | |
ミドリカスリヨコバイ | |
タイリクヒメハナカメムシ | |
ハエ目 | ユスリカのなかま |
ミナミヒメヒタラアブ | |
アシナガバエのなかま | |
ヒゲナガヤチバエ | |
ショウジョウバエ | |
ハエのなかま(小型種) | |
ハチ目 | ヒメバチのなかま |
トビイロシワアリ | |
ハチのなかま(小型種) | |
コウチュウ目 | メダカハネカクシのなかま |
ウスチャケシマキムシ | |
マメコガネ | |
クロヘリヒメテントウ | |
イネミズゾウムシ |
科名 | 種名 |
両生類 | |
アマガエル科 | ニホンアマガエル(幼生) |
昆虫類 | |
トンボ目 | シオカラトンボ(幼虫) |
カメムシ目 | アメンボのなかま |
コウチュウ目 | ゲンゴロウのなかま(幼虫) |
ゴマフガムシ | |
ハエ目 | ガガンボのなかま(幼虫) |
ユスリカのなかま(幼虫) | |
二枚貝類 | |
ドブシジミ科 | ドブシジミ |
シジミ科 | マシジミ |
巻貝類 | |
タニシ科 | ヒメタニシ |
モノアラガイ科 | ヒメモノアラガイ |
ハブタエモノアラガイ | |
モノアラガイ類の幼貝 | |
ヒラマキガイ科 | ヒラマキガイモドキ |
ミミズ類 | |
イトミミズ科 | イトミミズのなかま |
甲殻類 | |
カイエビ科 | カイエビ |
- | カイミジンコのなかま |
科名 | 種名 | 2014 | 2015 | 2016 |
トクサ科 | スギナ | ○ | ○ | ○ |
オモダカ科 | オモダカ | ○ | ○ | ○ |
ツユクサ科 | ツユクサ | ○ | ○ | ○ |
イボクサ | ○ | ○ | ○ | |
カヤツリグサ科 | コゴメガヤツリ | ○ | ○ | |
イネ科 | スズメノテッポウ | ○ | ○ | ○ |
メヒシバ | ○ | ○ | ○ | |
イヌビエ | ○ | ○ | ○ | |
チガヤ | ○ | |||
スズメノカタビラ | ○ | ○ | ○ | |
オオスズメノカタビラ | ○ | |||
アカバナ科 | チョウジタデ | ○ | ○ | ○ |
マメ科 | コメツブウマゴヤシ | ○ | ○ | ○ |
ヤハズエンドウ | ○ | ○ | ○ | |
バラ科 | オヘビイチゴ | ○ | ||
カタバミ科 | カタバミ | ○ | ○ | |
トウダイグサ科 | エノキグサ | ○ | ○ | |
コニシキソウ | ○ | ○ | ||
オトギリソウ科 | コケオトギリ | ○ | ○ | ○ |
アブラナ科 | タネツケバナ | ○ | ○ | |
スカシタゴボウ | ○ | ○ | ○ | |
タデ科 | ヤナギタデ | ○ | ||
ミゾソバ | ○ | |||
ナデシコ科 | オランダミミナグサ | ○ | ○ | ○ |
ノミノフスマ | ○ | ○ | ||
スベリヒユ科 | スベリヒユ | ○ | ○ | ○ |
アカネ科 | フタバムグラ | ○ | ||
ヘクソカズラ | ○ | |||
オオバコ科 | タチイヌノフグリ | ○ | ○ | ○ |
オオイヌノフグリ | ○ | ○ | ||
アゼナ科 | アメリカアゼナ | ○ | ||
シソ科 | トウバナ | ○ | ○ | ○ |
シロネ | ○ | |||
サギゴケ科 | トキワハゼ | ○ | ○ | ○ |
キク科 | ヨモギ | ○ | ○ | ○ |
アメリカセンダングサ | ○ | |||
トキンソウ | ○ | ○ | ○ | |
ハルジオン | ○ | ○ | ○ | |
オオアレチノギク | ○ | ○ | ○ | |
タチチチコグサ | ○ | |||
ブタナ | ○ | |||
ニガナ属の一種 | ○ | |||
フキ | ○ | ○ | ○ | |
ハハコグサ | ○ | ○ | ○ | |
セイタカアワダチソウ | ○ | ○ | ||
オニノゲシ | ○ | |||
ノゲシ | ○ | |||
セイヨウタンポポ | ○ | ○ | ||
ウコギ科 | オオチドメ | ○ | ○ | |
ウキゴケ科 | イチョウウキゴケ | ○ | ||
36 | 36 | 36 |
除草剤 バッチリ1キロ粒剤(使用時期:2016年4月30日)(使用量:1kg/10a)
*この使用量は石川県の慣行栽培で使用される農薬の使用回数に比べて、約7割少ない量です。
◎ネオニコチノイド系農薬不使用(苗にも使っていません)
◎ラジコンヘリによる殺虫剤の空中散布なし
◎畦の除草剤不使用
化学肥料BB新コシ一発タイプ(使用時期:2016年4月30日)(使用量:33kg/10a)
コシヒカリ
4月30日
中村さんからのメッセージ
かつての河北潟地域
今から約40年ほど前、河北潟に通ずる河川には入江があり、田んぼ脇の水路から舟を使って米を運搬していました。そのころは家に舟がありましたので、舟で潟を移動し、ハッタミミズを使って、ウナギやフナなどを釣っていました。
八田町のハッタミミズ
ご存じの方は少ないかもしれませんが、八田町にはハッタミミズという今では珍しいミミズが生息しています。大きいもので約80cmほどの巨大なミミズで、八田町はこのハッタミミズが初めて発見された場所です。昔は町内の田んぼのどこを掘っても見つかりました。今でもハッタミミズは八田町に生息していますが、昔を思うと最近は本当に少なくなりました。
生きものがたくさんいる環境を広げたい
これまでも自然への環境負荷のことを考えて、農薬の使用量を極力抑えたり、畦の草は除草剤を使用せず定期的に草刈を行うよう努めた米栽培を行ってきました。 「生きもの元気米」はその名のとおり、生きものがかつてのように本来あるべき環境を広げていこうとする取り組みです。多くの人が賛同し、地域全体にハッタミミズやカエル等が増え、かつての環境に少しでも戻って欲しいとの願いから参加しています 。